どうせなら長く使いたい!ムートンのお手入れ方法について
2023/07/11
ムートンはご家庭でのお手入れや、定期的なクリーニングを行って頂くことによって、より長く美しくご使用いただけます。
(本ページは主にムートンフリース、ムートンラグ、ムートンクッション、ムートンシーツ等のインテリア・寝具系のムートン製品についての記事です。)
日頃の手入れ
ムートンを良い状態で長くお使い頂くためには、日頃のお手入れをまめに行って下さい。
埃・チリ・ゴミの除去
綺麗になるだけではなく、毛の絡み等のリスクを軽減します。
- 毛の表面や毛と毛の間の埃等は、細い棒や布団たたき等で軽く叩き落して下さい。
- 掃除機で吸引し毛を起こし、埃やチリ等を吸い取るのも効果的です。布団用ノズルを使うなどして、毛を巻き込んだりスキンを傷めたりしないようご注意ください。毛の間の部分は細めのノズルを使うと除去しやすいです。
- ロールクリーナー(コロコロ)もご使用頂けますが、あまり粘着力の強いタイプを使うと毛が抜けてしまうので、粘着力の弱いタイプでソフトに使用して下さい。
- 手で少し叩いただけで粉塵がたくさん舞ってしまったり、持ち上げただけで床に粉塵がたまってしまう程の状態は、専門クリーニングで根元から粉塵の除去をする事をお勧めします。
毛の間の空気の入れ替え
においを落ち着かせ、風合いを取り戻します。
- 風通しのよい場所で陰干しして、新鮮な空気を通して下さい。その際、ブラッシングをしておくとより効果的です。
※直射日光に当てると色あせの原因になりますので、ご注意下さい。 - ムートンフリースの1匹物など軽くて小さめの物は、洗濯物を干す時のように空中で振り払って、毛を立たせるのもお勧めです。
ブラッシング
美しい毛並みと柔らかな肌触りを持続させるにはブラッシングが効果的です。
画像のようにムートンの毛は使用しているとダマになりゴワゴワしてきます。
更に、特に体圧がかかる部分(シーツの中央部分等)はフェルト化して平べったくなり、毛のフワフワ感が損なわれてしまいます。
このような状態になるとブラッシングが効果的です。
- キューティクルが壊れないよう濡れタオルや霧吹きで少し濡らし、毛や皮を傷めないように優しくブラッシングして下さい。(ブラッシング効果は少し落ちますが、面倒であれば乾燥状態でもOKです)
- 逆毛になる様にブラシをする事で、毛がふっくらと立ち、空気の入れ替えにもなります。
- 周囲に飛び出している毛は、裏面からもブラッシングをしてあげると、よりふっくらになります。
※どんなムートンでもブラッシングをすると毛は多少抜けます。なので、あまり神経質になって過度にブラッシングする事はお控え下さい。
※だまになっている箇所を無理に力を入れてブラッシングすると毛を痛めてしまうので、優しく少しずつほぐしていって下さい。
ブラッシング後がこちら↓
ムートンのお手入れブラシはこちら |
拭き掃除
軽い水溶性の汚れはご家庭でも簡単に落とすことができます。
- 頭髪用のシャンプーやウール洗剤等をぬるま湯で薄めてスポンジやタオルで軽く拭き、その後濡れたタオルで洗剤成分を落とします。
※洗剤は必ず中性かウール用をお使い下さい。また、漂白剤や洗浄作用の強い洗剤は、毛や皮を痛める可能性がございますので、使用しないで下さい。
洗濯・丸洗い
ムートンは手洗いや洗濯機での洗濯・丸洗いも可能です。
- 事前に埃・チリ・ゴミを除去しておき、中性かウール用の洗剤で洗濯して下さい。
- よく絞った後、洗濯ばさみ等でピンと張り(皮が折曲がる可能性があるため)、風通しの良い場所で裏面から(乾きを早くするため)陰干しして下さい。
- 毛がだまにならない様、7割程乾いたらブラッシングをして毛をとかして下さい。
- 完全に乾いたら、軽くブラッシングをして毛を整えて下さい。
※一部の安物の粗悪品や劣化したムートンは、原皮が工程に耐えられなくボロボロになってしまう可能性がございます。また、過度な洗濯や負荷がかかる行為はお止め下さい。あくまで自己責任でお願い致します。
※水分を含んだままで使用すると、革の硬直の原因となりますので、乾燥はしっかりと行って下さい。
※どんなムートンでも丸洗いをすると風合いが多少変わります。
こんな時はどうする?
ケース別の対処法です。服や家具でも同じですが、できるだけ跡を残さないためには早期対処が重要!いずれもすぐに処置を施す事をお勧めします。
ジュースやコーヒーをこぼした
乾いたタオルで水分を拭き取った後、スポンジやタオル等にウール用洗剤を溶かしたぬるま湯を含ませ、軽く叩くように汚れを拭き取り、濡れタオルで洗剤成分を落として、陰干しして下さい。
程度によっては裏側にシミが残ってしまう場合があり、革が少し硬くなる可能性もあります。
口紅や油性の汚れが付いた
ベンジンを含ませたスポンジやタオル等でたたいた後、ウール用洗剤を含ませた布で拭き取り、濡れタオルで洗剤成分を落として、陰干しして下さい。
また、「ドライソルビー」で除去できる場合があります。
詳しくは以下のページを参考にして下さい。
血液が付いた
オキシドールを含ませたスポンジやタオル等でたたいた後、ウール用洗剤を含ませた布で拭き取り、濡れタオルで洗剤成分を落として、陰干しして下さい。
タバコのこげが付いた
炭化した部分を軽く拭き、ブラシやくしでよくほぐしたら、ハサミを斜めに入れてすくように毛先をカットします。
ペットの尿が付いた
尿は痛みやすいため、できるだけ早く中性洗剤と水で洗い落とし、陰干しして下さい。
特に猫の尿はダメージが深刻になりやすいです。
革部分が硬直して強度が著しく下がってしまい、今後クリーニングが不可になる場合が高くなるので、お気をつけ下さい。
保管方法
長期間使わない場合はきちんと保管して下さい。
- 保管する前には陰干しで湿気をとばし、埃やチリなどもできるだけ除去して下さい。
- カバーは不織布のふとん袋等の通気性が良いものを使用し、湿気が少なく直射日光の当たらない場所に保管してください。
- 保管には他のウール製品同様に、防虫剤のご使用をおすすめします (無臭タイプの防虫剤をおすすめします)。防虫剤が直接製品に触れないようご注意ください。
よくある質問
コインランドリーで洗えますか?
色々なコインランドリーがあるので断言はできませんが、洗いや脱水程度なら大丈夫かと思われます。
ただ、高熱の処理がかかる「乾燥」は革にダメージを与える可能性が高いので行わないで下さい。
手入れをすればどのくらい長持ちしますか?
もちろん使い方にもよりますが、そもそもの原皮のレベルに左右される事が大きいです。
安物など元々の原皮のレベルが低い場合、毛の密度が少ないのですぐ擦り切れたり、なめし不良で革が傷みやすかったりする事がありますので、あまり長持ちはしません。
当店はムートンクリーニングも行っており、様々な使用されたムートンを見て実感していますが、やはり原皮のレベルが高いと数年たっても状態が良いものが多いです。
毛が革ごと剥がれてしまった
古い物や強い負荷がかかったムートンは、毛が革ごと剥がれてしまう可能性があります。
ムートンの革は層になっており、上皮のみ剥がれるパターンがほとんどなのですが、数cm程度でそこまで損傷が大きくない場合は、革用ボンドでくっつけて修理も可能です。
大きい損傷の場合でも原皮を差し替えで修理可能な場合がありますので、当店にご相談下さい。
毛が擦り切れてしまった
どんなムートンでも使用していると、どうしても毛が擦り切れていきます。
特に体圧がかかる箇所が多いですが、強くこすりながら密着してもダメージを与えやすいので注意しましょう。
また、密度の低い安価なムートンは擦り切れをおこしやすいです。
毛自体が無くなっているので、お手入れやクリーニングでの復元は不可能ですが、原皮交換で修理可能な場合があります。
黒ずみができた
チリや埃が毛と毛の間にたまって目詰まりしている状態です。
掃除機で多少改善される場合がありますが、もっと綺麗に除去をしたいのならクリーニングがお勧めです。
毛が緑がかった
年数が経つと緑がかった色になる場合がありますが、染めていた一部の色素が抜けてしまっている(特にブラウン系の色が変色しやすいです)ので、変色自体はお手入れやクリーニングでは復活しません。
ただ、変色以外に埃や汚れ等も付着している状態の場合、お手入れやクリーニングでそれらが除去され、本来の見た目に近づく場合はあります。
においが気になる
ファブリーズなどの衣服消臭剤を塗布して、風通しの良い所で裏干し・陰干しすると軽減する場合があります。
あまりビチャビチャになるまで吹きかけてしまうと革を痛めてしまうのでご注意下さい。
動物臭については毛皮なのでどうしてもありますが、徐々に気にならない程度に落ち着いてくるかと思われます。
ペットにかじられた・ひっかかれた
どの程度まで傷んだかバラつきはありますが、毛が革ごととれた場合はこちらを参考にして下さい。
ムートン専門のクリーニング・修理・リメイク
当店はムートンの宅配クリーニング(往復送料無料)も行っていますので、より本格的に洗いたいときにご利用下さい。
キレイにするだけでなく、専用の起毛機でふっくら毛をおこします!
また、補修・メンテナンス・裏生地交換・リメイク等も可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
クリーニングの前後を画像付きで掲載した、クリーニングのビフォー&アフターも是非ご参考にして下さい。
※主に衣類を取り扱う一般的なクリーニング業者に、ムートンのクリーニングを依頼するのはお止め下さい。誤ったクリーニング方法により原皮が痛んでしまう可能性がございます。当店に修復依頼がよくきますが、ダメージが大きいため修復不可の場合も少なくありません。