原料の選別から製品への加工まで!ムートンの製造工程
2022/07/14
ムートンは様々な工程を経て私たちの手に届きます。
原材料の調達やなめし加工や染色作業、そして最終加工。
その全ての作業が一流のプロの手によって行われていきます。
そんなムートンの製造工程をご紹介します。
原料
ムートンの原料となる羊は、品質が高いオーストラリア・ニュージーランドで主に飼われているメリノ種が一般的ですが、カーリー調のチベットラム、世界でた ったひとつだけのデザインをしたブチ模様など、その羊の特性を活かして利用する事もあります。
価値は種類・個体間の毛質の差・生後期間・毛狩りの有無などで変わります。
一般的に日焼けのダメージが少ない生後半年以内の毛狩りをしていない物が多く使用されます。
また、特に8月から10月(南半球では春)の間に取引される原皮を「スプリング(春)ラム」といいます。
なめし加工
ムートンのみではなく全ての革製品は『なめし』という工程を行います。なめしとは皮の変質や腐敗を防ぎ、長期的に利用できるように加工する事です。これにより”皮”は”革”へと変化します。
なめしの方法は色々あり、『クロムなめし』・『白なめし』・『タンニンなめし』などがあり、それぞれ工程・特徴が異なります。
ここでは特にMDMムートンのクロムなめしをご紹介したいと思います。
科学的製法を用いてなめす方法。変色・変質が起こりにくく、水や熱にも強い特徴を持っています。
- 保管庫から取り出し、水戻しして洗浄します。
- 皮上に残った脂分などの要らないものを削って除去します。
- 脱脂と洗浄を行い、ピックル・強酸に漬け込みます。
- アルミニウムやタンニンを使って前なめしをします。
- 最後にクロムを浸透させ完了です。
染色
この工程でシナモン・ネイビー・ピンク・ブルーなど様々な毛色にします。
ムートンは酸を使った染色方法が主流で、革がついているため温度は低めで染色をします。
薄めの色は日焼けのムラがあると生産できません。
※日焼けのムラを隠すため、過度な漂白をしている業者もございますので、ご注意下さい。
アイロニング・シャーリング
数回ムートン専用のアイロンで毛を整えます。
このアイロンはムートンのクリーニングにも使われます。(→詳しくはこちらの記事)
シャーリングでは規格の長さにカットします。
ここで長毛タイプ・短毛タイプなどが決まります。
この先、フリース・クッション・カーペットなど各製品へとなります。
色あわせ・カッティング
ムートンは同色だと一見どれも一緒に見えますが、実は個体間で微妙に色合い・風合いが異なります。
なので、繋ぎ合わせる時は違和感がでないよう、職人による慎重な色あわせが行われます。
カッティングは専用カッターを使い、毛を切らないよう注意しながら、各々の形状にカットします。
縫製・仕上げ
縫製の際のポイントは、いかに自然に繋ぎ合わせる事です。
ここが疎かだと製品のクオリティが一気に下がってしまいますので、職人の技の見せ所でもあります。
最後は仕上げとしてブラッシングをして毛を整えてあげます。この最後の一手間で見栄えや肌触りが違ってきます。
以上で完成です!!
この後、梱包・出荷を経て、皆様の元へムートンが届きます。
それまで色々な人の手にかかり、その一つ一つの工程に、妥協を許さず良いもの作りを追い続けるプロの方たちの"想い"が詰まっています。そう思うと、既に持っているムートン・これから入手するムートンにますます愛着が湧くかもしれませんね。
私たち人間に恩恵を与えてくれた羊たちには感謝と敬意を表します。